カリストはパチンコ・パチスロ遊技機に特化したソフトウエア制作会社です。プランナーの主な役割は、どうすれば遊技機をおもしろくできるのか、より多くのお客さんに遊んでいただけるのか、そこの部分を企画として示すことです。
はじめに作成するのはコンセプトを端的にまとめた「企画草案書」、いわば企画の種です。そこからデザイナーと組んで映像演出の概要を提案する「企画概要書」、さらには抽選設計やデータ構造設計のひな形を定義する「企画仕様書」へと企画を肉付けしていきます。
例えば映像が得意な制作会社であれば、企画草案書、企画概要書は担当できるかもしれません。ただし、企画仕様書まで作れる制作会社はカリストのほかにはあまりないはずです。主にメーカーのプランナーが担当する業務であり、パチンコ業界でしか学べない高い専門性を要するため、仕様書の策定スキルはカリストの大きなアドバンテージになっています。
また、メーカーのプランナーが仕様を定義し、協力会社のプログラマーが組み込みを行うという一般的なフローでは、どうしても開発現場での細かな演出のジャッジが難しくなります。その点、カリストは仕様策定から組み込みまでプランナー、デザイナー、プログラマーが顔をつき合わせながら作り上げることで演出のクオリティを高めています。
必ずしも企画草案書からスタートするわけではなく、プロジェクトによってカリストが参画するフェーズはさまざまです。企画仕様書から請け負うこともあれば、反対に版権取得用企画書やスペックといった最初期フェーズからの提案も可能です。そのためプランナーはどの版権がどんな世代・性別に訴求力があるのか、その層に受けるのはどういったスペックかといったマーケティング面の考察も行っています。
現在のパチンコにおいて主役となるのは映像ですから、カリストのプランナーには遊技者の感情に訴えかける映像演出のスキルも求められます。
パチンコの映像制作では時間に非常に気を使います。1/30秒、1/60秒の違いがユーザー心理に影響するため、私たちもそこまでこだわって作り込みます。この辺りの感覚は試打・微調整を繰り返さないとわからないことで、業界としてもまだまだノウハウが確立されていません。パチンコ専門のクリエーターとして、私たちが開発しながらノウハウを蓄積しているのが現状です。
感情に訴える映像表現とパチンコならではのデータや仕様をどう結びつけるかもプランナーの重要な仕事です。
「チャンス」という文字を表示するにしても、そのシーンの当たりの確率にふさわしい期待感をユーザーに伝える必要があります。実際にホールに足を運ぶと、映像はハイクオリティなのにお客さんがほとんどいないタイトルも見かけます。つまり、主役の映像を生かすも殺すも企画次第です。
そういった意味で、私が強くこだわっているのがフローチャート作成です。フローチャートとは、変動開始からどういった条件や演出を経てリーチや大当たりに推移するかを定義した設計図のこと。遊技機の評価を左右する重要な仕事になります。ゲームであれば一部がつまらなくても続きに期待するユーザーが多いのですが、パチンコはつまらなさや、不快感があればそこまで。フローのどこにも期待値消失の要素が存在しないように緻密なチャート設計を心掛けています。
カリストは下請け企業ではなく、メーカーのパートナーとなれるような会社を志向しています。特にプランナーにはメーカーに歩み寄った働きが求められます。前述した企画仕様書の策定もその一例で、ほかにも法律上の禁止事項や各メーカーが独自に規定するルールを理解した上での先回りした提案も得意としています。こうしたメーカーへの働き掛けは、パチンコ業界の専門性に対応するカリストだからできることであり、非常に取り組みがいがあります。
メーカーに近いところで仕事をするという立場から、プランナーはメーカーとカリストのデザイナーやプログラマーとの間に入る橋渡し的な役割、社内スタッフに対して方向性を示す役割も担います。
とにかく幅広い業務に関わることができるのがカリストのプランナーの特徴であり、楽しさでもあります。360度どこにアイデアの種、ビジネスの種があるかわからないため、常に世の中にアンテナを張っています。私の将来的な夢もソフトウエア開発の枠を超えたものです。いつか、ホール全体を海外のカジノに負けないようなエンターテイメント空間としてプロデュースしたいと考えています。